Oncology
腫瘍科
乳腺腫瘍
● 乳腺腫瘍とは
犬の乳腺腫瘍は、未避妊雌に発生する腫瘍ではもっとも多い腫瘍です。とくに中~高年齢で発生が増加します。犬に発生する乳腺腫瘍は、半数が良性であるとされています。良性腫瘍であっても時間経過とともに悪性腫瘍へ転化を起こすこともあるため、長期間無治療で放置することは推奨されません。
猫の乳腺腫瘍は、全体の腫瘍のうち 17%を占めるとされ、その発生率はリンパ腫および皮膚腫瘍に次いで 3番目に多いとされています。猫では 85~95 %が悪性(癌)であり、良性の乳腺腫瘍はまれです。
乳腺腫瘍発生の予防のため、早期(6か月~12か月齢頃まで)に避妊手術を行うことを推奨しています。
● 症状
腹部の乳腺組織(皮下)に存在するしこりを認めます。
● 検査
血液検査、超音波検査、X線検査等を行い全身状態、転移の有無等を検査します。
● 治療
外科手術による切除(乳腺部分切除、片側乳腺全切除など)を第一選択としています。切除後にリンパ節転移が認められた場合は抗がん剤治療を行う場合もあります。
皮膚肥満細胞腫
● 皮膚肥満細胞腫とは
犬では皮膚の腫瘍の中では最も発生頻度が高い腫瘍です。体表のあらゆる部位の皮膚に発生し、中~高年齢犬に多い傾向にあります。
猫では皮膚の腫瘍の中では2番目に多い腫瘍であり、頭頚部に発生することが多いです。
● 症状
皮膚にしこり(腫瘤)を認めます。また、皮膚の痒みで来院される場合もあります。
● 検査
腫瘤に対して針を刺して細胞を採取する検査を行います。
● 治療
外科手術による切除を第一選択としています。その他、抗がん剤治療などを行う場合もあります。
多中心型リンパ腫
● 多中心型リンパ腫とは
リンパ腫は、血液がんの1つで、白血球のなかのリンパ球ががん化する病気です。その中でも多中心型リンパ腫は、主に体表のリンパ節が腫瘍化して腫れてくる病気です。犬のリンパ腫で最も多いタイプで約80%を占めています。猫ではこのタイプのリンパ腫の発生は少ないです。
● 症状
体表のリンパ節が腫れていることに気付かれて来院されることが一般的です。しかし、元気、食欲の低下、体重減少等で来院される場合もあります。
● 検査
腫瘤に対して針を刺して細胞を採取して細胞の形態検査、リンパ球クローナリティ検査など検査を行います。リンパ節を切除しての検査を行う場合もあります。その他、血液検査、超音波検査、X線検査等で全身状態の検査を行います。
● 治療
抗がん剤治療を第一選択として行います。その他、ステロイドのみでの治療を選択される方もいらっしゃいます。
消化器型リンパ腫
血管肉腫
● 血管肉腫とは
血管肉腫は、血管内側の細胞(血管内皮細胞)ががん化した悪性腫瘍です。
犬の血管肉腫の原発部位として脾臓がもっとも多いですが、心臓、皮膚、皮下、肝臓、腎臓などさまざまな臓器に発生します。また、転移率が高いとされています。
猫の血管肉腫は犬と比較すると発生頻度が低い腫瘍です。猫では、皮膚血管肉腫と肝臓、脾臓、小腸に発生する内臓の血管肉腫の発生頻度が同等とされています。内臓の血管肉腫は犬と同様に転移率が高く、診断時に複数の病変が見られる場合が多いとされています。
牌臓の血管肉腫は脾臓摘出のみでの生存期間中央値は1~3 カ月程度で、年生存率は10% 未満と予後不良です。肝臓原発の血管肉腫の予後も同様に悪いとされています。
猫の内臓の血管肉腫の予後は非常に厳しいとされています。生存期間中央値は転移性病変のために短いとされています。皮膚や皮下の血管肉腫は60~80%の再発率と報告されています。
● 症状
脾臓や肝臓の病変での腫瘍が破裂したことによる腹腔内出血、心臓の病変での心タンポナーデが起こるとショック、急に元気がなくなるなどの症状がみられます。一方、超音波検査やX線検査で偶然発見されることもあります。
● 検査
切除可能なものであれば切除手術を行い、病理検査を行います。
● 治療
外科手術による切除を第一選択とします。しかし、切除不可能な場合は抗がん剤治療等を行う場合があります。転移率が高いため、切除後も抗がん剤治療を行う場合があります。
眼瞼腫瘍
● 眼瞼腫瘍とは
眼瞼(がんけん)腫瘍は、まぶたにできる腫瘍で犬では比較的多い腫瘍で、そのほとんどが良性のマイボーム腺・皮脂腺腫で、悪性腫瘍の腺癌はわずか2%とされています。猫の眼瞼腫瘍の発生率は低いですが、犬とは異なり発生する腫瘍の多くは悪性です。眼瞼腫瘍でもっとも多く認められるのは扁平上皮癌です。
● 症状
まぶたの腫瘤として認められます。
● 検査
基本的には切除手術を行い、病理検査を行います。
● 治療
外科手術による切除を第一選択とします。