Endocrinology
糖尿病・内分泌科
糖尿病
● 糖尿病とは
糖尿病は、インスリンの不足やインスリン抵抗性により、高血糖が起こり、さまざまな異常を引き起こす病気です。
長期の高血糖が続くと、ケトン体という物質が多く作られ、ケトアシドーシスが起こります。ケトアイドーシスは生命にかかわる緊急性の高い病気です。
発症原因として犬では膵臓の中の膵島と呼ばれるインスリンなどのホルモンを分泌する部位の萎縮、副腎皮質機能亢進症、雌性ホルモンによるインスリン抵抗性(未避妊雌)、膵炎、ステロイド薬の投与などです。
猫では肥満、膵炎、末端肥大症、副腎皮質機能亢進症、ステロイド薬の投与などです。
● 症状
水を飲む量が多い、尿の量が多い、多食、体重減少です。症状が進行してケトアシドーシスを併発すると元気が無くなり、食欲が低下、嘔吐、下痢、脱水などの症状が現れます。
● 検査
血液検査、血中のホルモン濃度の測定、超音波検査などを行い診断します。原因となる病気が疑われる場合は、血中のホルモン濃度の測定などを行います。
● 治療
犬では注射によるインスリンの補充を行います。猫では注射によるインスリンの補充または血糖降下薬の経口投与での治療を行います。併せて糖尿病療法食等への変更を推奨しています。
副腎皮質機能低下症
● 副腎皮質機能低下症とは
副腎皮質機能低下症(アジソン病)とは、副腎の機能が低下し、グルココルチコイドやミネラルコルチコイドといった副腎皮質ホルモンが不足する病気です。犬での平均発症年齢は4~5歳です。猫での発生は非常にまれとされています。詳細な原因は分かっていません。
急激な副腎皮質ホルモン不足による循環不全、低血圧が起こると急性の腎障害が起こることがあり、緊急治療が必要な病気です。
● 症状
食欲不振、嘔吐、元気消失、沈うつが一般的で、その他、下痢、水を飲む量が増える、尿の量が増える、震えなどが見られることがあります。
● 検査
血液検査、血中のホルモン濃度の測定、超音波検査などを行い診断します。
● 治療
急激な副腎皮質ホルモン不足に対しては、緊急治療として入院治療にて点滴、注射にてホルモンの補充を行います。その後、経口薬にて維持療法を行います。
甲状腺機能亢進症
● 甲状腺機能亢進症とは
甲状腺機能亢進症は、猫に代表的な内分泌の病気です。犬にとってはまれな病気です。高齢の猫での発症が多く、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
● 症状
体重減少、多食または食欲低下、活動性が多くなる、水を飲む量が増える、尿量が増える、嘔吐、下痢、被毛の粗剛、頻
脈、高血圧といったさまざまな症状が現れます。
特に猫で「食べる量が減っていないが、最近痩せてきた」「吐くことが多い」「便が軟らかい」「よく鳴いている」などで来院される方が多いです。
● 検査
血液検査、血中のホルモン濃度の測定、超音波検査などを行い診断します。
● 治療
猫では甲状腺ホルモンの分泌を抑える内服薬を使用することが一般的です。その他、食事療法、甲状腺の外科的な摘出等の治療法もあります。
犬では原因が甲状腺腫瘍であることがほとんどのため、外科的な切除が第一選択になります。
● その他
猫では内服治療開始後に、治療前に過剰だった腎臓の血流が抑えられるため、隠されていた腎臓病(腎機能低下)が血液検査の数値として現れる場合があるため、注意が必要です。
その他、皮膚の痒み、貧血などの副作用が出る場合があります。
甲状腺機能低下症
● 甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン欠乏による病気です。基本的には犬の病気で、猫にとっては非常にまれな病気です。
犬での原因は、そのほとんどは甲状腺組織の破壊による原
発性甲状腺機能低下症で、自己抗体が検出されるリンパ球性甲状腺炎か原因不明の特発性甲状腺萎縮です。
● 症状
犬での一般的な症状は、脱毛、ラ ットテイル(しっぽや腰の毛が抜けている状態)、皮膚の色の変化、皮膚にかさぶたが出来る、などの皮膚症状、耳の痒み、活動性の低下、悲劇的顔貌、体重増加などです。
まれですが、顔面神経麻痺(まばたきが出来ないなど)、前庭障害(首の傾きなど)、ふらつくなどの神経障害、虚脱、低体温、昏睡などを引き起こす「粘液水腫性昏睡」が発生することがあります。
猫での症状で犬と大きく異なるのは、食欲低下がみられることとされています。
● 検査
血液検査、血中のホルモン濃度の測定、超音波検査などを行い診断します。
● 治療
内服薬による甲状腺ホルモンの補充による治療を行います。
● その他
治療によって症状の改善がみられるまでの期間は、臨床症状により異なります。活動性の低下は、1週間以内に改善することが多いとされています。一方、皮膚症状や神経症状の改善には数カ月かかる場合が多いとされています。
副腎皮質機能亢進症
● 副腎皮質機能亢進症とは
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、過剰なコルチゾール(副腎皮質ホルモン)による病気です。原因は下垂体腫瘍による下垂体依存性と副腎腫瘍を原因とする副腎依存性に分けられ、多くは下垂体依存性です。
● 症状
犬での一般的な症状は水を飲む量が多い、尿の量が多い、多食、腹部膨満、皮膚症状(脱毛、皮膚が薄くなるなど)などです。また、糖尿病などの原因にもなる病気です。
猫での最も多い症状は水を飲む量が多い、尿の量が多いです。80%以上の子がインスリン抵抗性の糖尿病を併発していることも特徴です。
● 検査
血液検査、尿検査、血中のホルモン濃度の測定、超音波検査での副腎の大きさを測定などを行い診断します。下垂体依存性が疑われる場合には、CT、MRI検査が行われる場合も有ります。
● 治療
副腎ステロイドホルモンの合成を抑制する内服薬による緩和治療が最も多く選択される治療です。その他、副腎依存性であれば外科摘出、下垂体性であれば放射線治療が行われる場合もあります。