犬のフィラリア(犬糸状虫)症
● 代表的な症状 ![]()
・咳、疲れやすい、呼吸困難、失神、喀血、体重減少
・重症になると血尿、心不全による腹水
● フィラリア症とは
犬のフィラリア症は犬糸状虫の感染に伴う病気です。蚊の吸血によって感染が起こります。犬糸状虫は最終的には肺の血管に寄生するため、主病変は肺の血管ですが、病変は全身に及びます。感染によって引き起こされた病変は不可逆的で、重度感染犬は亡くなってしまう事が多い病気です。
治療が難しく、現在、多くの予防薬が存在し確実な予防が可能であるため、感染予防が重要です。
混合ワクチンについて
● 当院の混合ワクチンの種類
・6種混合ワクチン
・8種混合ワクチン
● 予防できる病気
・6種混合ワクチン
・犬ジステンパー
・犬伝染性肝炎
・犬アデノウイルス2型感染症
・犬パルボウイルス感染症
・犬コロナウイルス感染症
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・8種混合ワクチン
・犬ジステンパー
・犬伝染性肝炎
・犬アデノウイルス2型感染症
・犬パルボウイルス感染症
・犬コロナウイルス感染症
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・レプトスピラ症
(イクテロヘモラジー、カニコーラ)
写真
犬ジステンパー
● どんな病気
犬ジステンパーは、急性感染で発熱、鼻汁、くしゃみ、結膜炎、食欲減退、皮膚の発疹などがみられる。白血球の減少により、一時的な免疫不全状態となるため、細菌などの二次感染により症状が重篤になることも多い。一部は、CDVが脳内に侵入し、 攣発発作、震え、後躯麻痺などの神経症状が現れると予後が極めて悪く、回復しても後遺症が残ることが多いとされています。
野外では野生動物間で感染が流行しているため、弱った野生動物と接触しないようにしてください。
● 原因ウイルス
・犬ジステンパーウイルス
● 感染経路
・感染動物の呼吸器、糞便、尿中に排出されたウイルスが飛沫となり空気伝播する。
犬伝染性肝炎
● どんな病気
犬伝染性肝炎は、特に子犬で急性の致死性感染症です。症状は、発熱、嘔吐、下痢、出血傾向(鼻出血、下血など)、頸部リンパ節の腫れ、突然死などです。
同じ犬アデノウイルスの2型のワクチンが、安全性が高く犬伝染性肝炎にも有効なため使われています。
● 原因ウイルス
・犬アデノウイルス1型
● 感染経路
・排泄物中のウイルスへの直接接触で経口・経鼻感染します。
・汚染された器物を介した感染も起こります。
犬アデノウイルス2型感染症
● どんな病気
犬アデノウイルス2型は犬の呼吸病であるケンネルコフの病原体の一つです。単独感染は伝染性喉頭気管炎とも呼ばれます。病状は軽度で特に治療を必要としないとされています。他のウイルスや細菌と混合感染した場合(ケンネルコフ)は治療を必要とします。
● 原因ウイルス
・犬アデノウイルス2型
● 感染経路
・主な感染源は急性感染した犬の呼吸器分泌です。排泄物中のウイルスに直接接触することで経口・経鼻感染します。
犬パルボウイルス感染症
● どんな病気
犬パルボウイルス感染症は子犬の致死性感染症で、免疫のない子犬は急性の経過をとります。食欲と元気が消失し、数時間後には嘔吐と多くの場合、出血性の下痢が起こります。犬パルボウイルス感染だけで犬が亡くなることはありませんが、二次感染による敗血症により亡くなることがあります。
● 原因ウイルス
・犬パルボウイルス
● 感染経路
・急性感染犬の排泄物 (嘔吐物、糞便) 中のウイルスおよび、それに汚染した器物による経口、経鼻感染です。
犬コロナウイルス感染症
● どんな病気
犬コロナウイルスは、特に1歳以下の子犬の下痢を主な症状とします。主な症状は嘔吐と下痢です。犬パルボウイルスとの混合感染を起こすと命にかかわります。
● 原因ウイルス
・犬コロナウイルス
● 感染経路
・感染犬の糞便中のウイルスおよび、それに汚染された器物による経口感染です。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
● どんな病気
犬パラインフルエンザウイルスは犬の呼吸病であるケンネルコフの病原体の一つです。本ウイルス感染の結果、他の病原体の二次感染を引き起こしていると思われます。
● 原因ウイルス
・犬パラインフルエンザウイルス
● 感染経路
・主な感染源は急性感染した犬の呼吸器分泌(くしゃみや咳による飛沫)です。
レプトスピラ症
● どんな病気
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レプトスピラ症は病原性レプトスピラ感染による細菌性の人と動物の共通の感染症です。自然界において菌をもつ動物は、げっ歯類をはじめとする野生動物です。それらの動物の尿に含まれるレプトスピラに汚染された土壌や水に接触した動物が、経皮的に感染することが多いとされています。発症した犬は急性の肝不全、腎不全を起こし、致死的です。
● 原因細菌
・レプトスピラ
● 感染経路
・野生動物の尿に含まれるレプトスピラに汚染された土壌や水から傷口を介して経皮、経粘膜または経口的に接触し発症する。したがって、台風などの河川の増水後に菌をもった動物の生息域からレプトスピラが広がり、秋を中心に発生が多い傾向にあります。
狂犬病予防接種
● どんな病気
狂犬病は人と動物の共通の感染症で、ほぼ世界中で発生しています。1958年以降、国内での発生はありませんが、外国から入ってくることが心配されています。したがって、国内で飼われているすべての犬は狂犬病予防法により1年に1回の接種が義務付けられています。
● 臨床症状
犬の典型的な症状は狂躁型で、食欲不振、元気消失、情緒不安定、光を避けるなどの行動異常から始まり、その後、興奮状態、意識不明、死亡という転機をたどります。発症した動物は治療の対象とはなりません。
● 原因ウイルス
・狂犬病リッサウイルス
● 感染経路
・主には犬による咬傷によります。
● 狂犬病予防接種の重要性
万が一、狂犬病ウイルスに対する免疫力のない犬の集団に狂犬病ウイルスが侵入してきた場合、病気の感染拡大を阻止することは難しいです。国内で飼育されている犬の全体の80%以上のワクチン接種率で感染拡大を阻止することが出来るとされており、最低でも70%の接種率が求められています。しかし、現在の実際の接種率は47%弱とも言われています。万が一の場合に備えて今後も狂犬病予防法の徹底が必要です。
ワクチン接種による副反応について
● 発生率について
過去の報告を以下に記載します。
混合ワクチン
・副反応の発生:10万頭あたり1.4~4.7頭
・重篤な副反応(アナフィラキシー)の発生:10万頭あたり0.9~1.9頭
狂犬病ワクチン
・副反応の発生:10万頭あたり0.4~0.6頭
・重篤な副反応(アナフィラキシー)の発生:10万頭あたり0.3頭
● 接種にあたり注意していただきたいこと
・体調の良い日に接種を行ってください。
・おおむね1週間以内に体調に変化があった場合は、接種前にご相談下さい。
・治療中の病気が有る場合は、接種前にご相談下さい。
・ワクチン接種等でアレルギーの既往歴がある場合は、接種前にご相談下さい。
・可能な限り、午前中に接種することをお勧めします。
● 代表的な症状
・元気・食欲の低下
・注射部位の疼痛
・皮膚の痒み
・皮膚の腫れ(多くは顔面)
・嘔吐、下痢などの消化器症状
・呼吸困難
・アナフィラキシー反応(急激な血圧低下による虚脱、貧血、呼吸促拍、呼吸困難、体温低下、流涎、ケイレン等)
● 接種後に注意していただきたいこと
・副反応を100%予防することは出来ません。
・接種後30分程度は院内にて様子を見て下さい。
・接種後1週間程度は、過度な運動、シャンプー等は避けて体調の変化にご注意ください。
・接種後、体調の変化があれば早急にご来院またはご相談下さい。
ノミ感染症
● ノミとは
ノミは体長2~3mmの昆虫で肉眼でも確認できます。ノミが寄生する個体にには、毛の間に点状の黒いフンが見られることが多いです。
寄生により刺咬による直接的な痒みだけでなく、刺咬時に注入されるノミの唾液成分によるアレルギー性皮膚炎が起こることがあります。また多数の寄生が長期間続いた場合は、貧血を起こすことがありあます。また、人への感染症の媒介者になる可能性もあります。ダニとともにノミの感染予防を行うことを推奨します。
● 感染経路
・ノミ汚染環境への立ち入り。
・ノミ感染動物との接触。
● 予防、駆虫
・チュアブルタイプの飲み薬、皮膚に滴下するスポット剤やスプレー剤を使用します。
・フィラリア予防薬と一緒になったオールインワンタイプの飲み薬もあります。
マダニ寄生
● マダニとは
マダニは吸血前3~8mm、吸血すると10~20mmにまで大きくなる比較的大型な吸血性の節足動物です。
マダニは刺咬による皮膚の発赤や痒みだけでなく、刺咬時に注入される唾液成分に細菌やウイルスが含まれていることがあり、様々な感染症につながります。媒介される感染症は、猫や犬だけでなく、人が感染(SFTSなど)する場合もあります。屋外に外出する機会がある場合は、ノミとともにマダニの感染予防を行うことを推奨します。
マダニがかかわる犬の病気
・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
・犬バベシア症
・エールリヒア症
マダニがかかわる人の病気
・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
・日本紅斑熱
・ライム病
● 感染経路
・ダニ汚染環境(公園、山などの草むら)への立ち入り。
・人が持ち込む場合もある。
● 予防、駆虫
・チュアブルタイプの飲み薬、皮膚に滴下するスポット剤やスプレー剤を使用します。
・フィラリア予防薬と一緒になったオールインワンタイプの飲み薬もあります。